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相続登記は何から始めるか ― ご相談で最初にうかがうこと

「相続登記が義務化されているので、どうにかしなきゃいけないと思いまして」

お電話でいちばん多いのが、こういうお尋ねです。義務になったことはご存じで、ただ、何をどうすればよいのかが分からないという状態です。最初はそれで構いません。お話をうかがったうえで、集めていただく書類をお伝えします。

ここでは、ご相談に来られたときに私が何をうかがうのかを、そのまま書いておきます。あらかじめ目を通しておいていただくと、一度のご相談で話が進みます。

お持ちいただきたいもの

固定資産税の課税明細書があると助かります。毎年春に市役所から納税通知書と一緒に届くもので、どの土地と建物に課税されているかが並んでいます。これがあれば、その場で対象の不動産を確認できます。わりと、これはお持ちになる方が多いです。

もし名寄帳をお持ちであれば、そちらのほうがさらに助かります。課税明細書は、文字どおり課税されている不動産しか載りません。公衆用道路(私道)や保安林、ため池のように固定資産税がかからない土地は、出てこないのです。

そんな土地は持っていない、とおっしゃる方がほとんどですが、経験上、この地域では、わりと保有されています。非課税なので、毎年の通知にも出てこず、ご本人も把握されていないだけです。これを見落としたまま登記をすると、その土地だけが亡くなった方の名義で残ります。あとで売却の話が出たときに発覚して、もう一度手続きをやり直すことになります。

また、共有の不動産の場合、課税明細書は共有者のうちのおひとりに届くので、納税の代表者ではない「外〇名」に含まれている場合は、課税明細書で共有不動産の存在については把握できません。しかし、名寄帳では共有の不動産があること、その持分がどれだけなのかも分かります。

名寄帳の写しは、市役所の市民課で申請できます。相続人の方であれば取れます。請求されるときは、念のため「非課税のものも含めて」とお伝えください

このほか、亡くなった方の死亡が記載された戸籍まで用意してこられる方もいらっしゃいます。そこまであれば、そのあとの調査はかなり早く進みます。

ただ、どちらもなくて構いません。何もお持ちでなくても、気にせずにお越しください。

最初にうかがうこと

亡くなられたのはいつですか

まずこれをうかがいます。相続の手続きは、すべて亡くなった日から始まります。ここが分からないと、全体の見当がつきません。

3年の期限を気にして訊いているわけではありません。相続登記の期限は、不動産を取得したことを知った日から3年です。ご相談に来られた時点で、まず間に合っていますし、そもそも相談に来られているということは、もう動き出しておられるということですから、そこは心配していません。

もちろん、2024年3月末以前に亡くなっておられる方の相続については、一律に2027年3月末までという期限がありますので、このコラムの執筆時点では、その期限は大きな要素ではあります。

しかしそれよりも気にしているのは、相続放棄のほうです。借金などの事情があって相続を放棄したい方がいる場合、家庭裁判所への申述は、相続の開始を知ったときから3か月以内と決まっています。この3か月は、あっという間に過ぎます。亡くなってからしばらく経ってのご相談だと、まずここが間に合うかどうかを確かめることになります。

なお、3か月を過ぎていても、事情によっては認められる場合があります。もう手遅れだと思われても、諦める前に一度ご相談ください。

遺言はありますか

あるかないかで、そのあとの進み方が変わります。遺言があれば、それに従って誰が取得するかが決まります。ない場合は、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)が必要になります。なお、ご自宅で保管されていた自筆の遺言は、開封する前に家庭裁判所の検認が必要なことがありますので、そのままお持ちください。

ご家族の構成を教えてください

誰が相続人になるかを確かめます。もっとも、ここでうかがうのは見当をつけるためです。実際に相続人が確定するのは、戸籍をたどってからです。ご家族が把握しておられなかった相続人が出てくることも、ないわけではありません。

どの不動産がありますか

課税明細書か名寄帳をお持ちなら、それを見ながら確認します。課税明細書は毎年届きますが、名寄帳は役所で申請しなければ取得できません。しかも、各市町村にある不動産の分しか出ませんので、鹿島市や武雄市にも土地や建物がある場合は、それぞれの役所で取る必要があります。

ご依頼いただくことになったら

続けて、次のことをうかがいます。

  • 亡くなった方の最後の本籍、最後の住所、生年月日
  • 遺産分割の方向性(どなたの名義にする見込みか)
  • 不動産を取得される予定の方の住所
  • 相続人の本籍と住所で、すでに分かっている分

一度にたくさんうかがうようですが、ここで分かっている分が多いほど、そのあとの戸籍の収集や遺産分割協議書の作成が滞りなく進みます。分からないところはこちらで調べますので、空欄のままで差し支えありません。

連絡の取れない相続人がいる場合

ご相談のなかで、不安そうに切り出される方がいちばん多いのが、この点です。「実は、長いこと連絡を取っていない兄弟がいて」というような言い方で出てきます。思った以上に、音信不通の相続人はいらっしゃいます。この点は、私が司法書士の仕事をするようになって、今のところいちばんびっくりしている事実でもあります。

ひとくちに音信不通といっても濃淡があるので、分けてご説明します。

住所が分からないだけの場合

ほとんどはこれです。戸籍をたどっていけば、その方が現在どこに住んでおられるかは分かります。戸籍の附票という、住所の移り変わりが記録された書類を取ることができるからです。これは司法書士が職務上の請求として取得できます。ご自身で役所を回っていただく必要はありません。

ただ、その方が転籍(本籍を変えること)を繰り返しておられると、いくつもの役所に順番に請求していくことになりますので、日数はかかります。そこはこちらで進めますので、お待ちいただくだけで結構です。

住所は分かるが、長年行き来がない場合

これも少なくありません。この場合に大事なのは、いきなり遺産分割協議書を送りつけないことだと思っています。何十年も音沙汰のなかった相手から、印鑑を押してくれという書類だけが届けば、普通は身構えます。まずは事情を書いたお手紙からです。

ご本人から出しにくいということでしたら、当事務所からお出しすることもできます。第三者の名前で届いたほうが、かえって話が進むこともあります。しかし、その逆もあり、司法書士から書面が届くと、「何か良くないこと、例えば債務の返済に巻き込まれるのではないか」といった不安を感じ、無視されることもあります。一概にどちらがいいとは言えません。

本当に所在が分からない場合

住民票や戸籍をたどっても行き着かない、という場合です。このときは、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、その方に協議に加わってもらうという方法があります。生死が7年以上分からないときは、失踪宣告という手続きもあります。いずれも時間と費用はかかりますが、手はあります。しかし、実際にここまでになるケースは、そう多くはありません。

3つに分けて書きましたが、最後にひとつ。多くの場合、それまで音信不通でも、連絡先が分かり連絡をした場合には、相手方は何かしらの反応を示してくれるものです。いろんな事情があり、疎遠になってしまっているので、連絡を取ることに不安を感じている依頼者の方は多いです。しかし、経験からいうと、いろいろ過去にあったとしても、多くの方は最低限の協力はしてくれますので、まずはアプローチしてみましょう。

費用のこと

ご相談のときに、当事務所の報酬と実費を分けた見積りをお出しします。実費は登録免許税と戸籍の取得費が中心で、不動産の評価額と相続人の人数によって変わります。手続きの途中で見込みが変わったときも、その都度ご説明します。

費用がどれくらいかかるのか分からないので相談をためらった、と言われることがあります。相場が知られていないのだと思います。見積りはご相談の場でお出ししますので、金額を見てから決めていただいて構いません。

ご相談だけで終えていただいても構いません。報酬額の目安は料金案内に載せています。

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手続きの全体の流れや必要書類については、相続登記のページにまとめています。

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